靖幸観察

私的観察

FAKE

かわいいべぃべと3人で「FAKE」を観て参りました。ネタバレなしと行きたいところですが無理そうなので、これからご覧になる方はご注意ください。あと「自由に受け取っていい」という監督のお言葉を拝見したような気がするので、これは全く個人の感想ということで本当は違うかもしれませんので、ご了承ください。

 

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マスコミ報道と思い

ストーリーの前半というか1/3ぐらい、佐村河内さんから発せられる言葉は、「いかに自分が聞こえてないのか」という証明だったと思います。診断書を見せたり、経緯をお話ししたり。診断書にまつわることは、しつこく後述もしますが、この辺り「マスコミ」の報道の怖さというのを感じます。昨今、乳がんになった妻の報道でどうのこうのと言うのも言われていますし、先日の熊本地震の時の報道についても言われていますが、これらが契機になって変わらないものでしょうかね。

話を戻して、例えば私たち医療者は、医療ドラマを見ては「あれはおかしい」「デフォルメしすぎ」と難癖つけます。テレビ的には面白かったり、派手だったりすればいいからなんでしょうけど、そもそもERに山Pなんていないし!江口洋介もいないし!逆にあんな医者いたらやりにくくて仕方ないわ!!!! (あ。ついつい気持ちが入りすぎました)ですが、一般の方が見たら、「きゃ〜」って思うのかもしれませんし、「病院ってこんななんだ〜」って思うでしょう。逆に私も「自分の詳しくない領域」の話って、マスコミの話がスッと入ってくるんです。なぜならバイアスがないから。何か忘れましたが、この数ヶ月間の間に、そう感じた出来事がありました。

なので、なんでもそうなんでしょうけど、片方だけの意見で左右されるのは浅はかだなって思った次第ですが・・元々、私そんなに感情優位じゃないので、そこはそれほど揺れないんですけどね。でも、一般的にはすぐに揺れ動くのも民衆心理なので怖いなと。

 

怒りの矛先

佐村河内さんは「共作」と最初の方でおっしゃってます。ですが、言ったもん勝ち?暴露した方が正義化され、片方の意見が取り上げられがちで、一般大衆は肩入れしていく方もいらっしゃいます。(ちなみに、私はどちらの肩も持っていませんが)これもマスコミに作られた方向性に民衆がなびいているだけなのかもしれないのに、それでも「他人の不幸は蜜の味」なんでしょうか。

私の調査不足なのかもしれませんが、結局明らかになっていないことの一つに、「なぜ新垣さんは急に手のひらを返したのか」という理由があります。映画の中でも佐村河内さんがおっしゃっていましたが「彼は技術屋で、新しい音楽の才能があるので、その料金として(明確には忘れました)彼女(奥さん)は高いな〜って思ってたと思うけど支払っていた」と話しています。そうでしょう。きっと高いお金を払っていたのでしょう。それは映画の中で明らかになりました。でもそれ以上に新垣さんを動かしたものは何か?地位?名声?バラシが方がもっとお金が入るよという揺さぶり?・・・これは何かわかりません。
確かに、映画の中で何度が登場する、新垣さんのちょいモデル写真。これは会場の笑いを誘っていましたし、出版社もやりすぎだろ?って私も思いましたけど。佐村河内さんにしてみれば、自分はこうやって部屋の中にこもった生活しているのに、彼はこんな風に時の人としてメディアに出ている!という怒りの気持ちがあったようだと感じました。


結局、聞こえてるの聞こえてないの?


そこまで私も調べてなかったのですが、彼が聞こえなくなったのは24歳で左の聴力低下、34歳で右の聴力低下、加療しても改善なし(2014年3月26日第1回聴覚障害の認定方法に関する検討会議事録より:厚労省)突難か何かが原因だったのでしょうか?そこはわかりませんでした。
奥さんの手話も本当ではない!という話しも出ているようですが、私が手話があまりわからないので判断し兼ねますが、でも部分的にわかる手話は「こんな感じじゃないかな〜?」という印象でした。そもそも、聞こえてるのかどうか、がこの映画のメインテーマではないような、メインテーマのような・・どっちなのでしょうね。

口話(こうわ)」と言っておられましたが、確かに人工呼吸器をつけている患者さんと私たちは、「口話」で話をします。(口パクって言ってるんですけど)患者さんは耳も聞こえてますけど、私たちの口を読むし、患者さんの言いたいことは私たちが口を読みます。だから、聞こえるとか聞こえないとかを除いても、ある程度は可能な技法なんじゃないかな〜って思ってました。

もう1点、佐村河内さんはABRの結果(後述)を何度もお伝えしているのですが、確かに脳波検査なのでこれは他の一般的な聴力検査に比べ自分でコントロールできないものなので、他の検査よりはevidenceとして有効そうです。ただⅤ波がどうのとおっしゃってましたが、まー間違ってはないのですが、ABRで見ているのはどの部位の障害かっていうことがメインなので、Ⅴ波まで波形が出てるってことは脳波は生きてるっていうことと、内耳の障害だねっていうこと、つまり感音性難聴の証明っていうことですね。


確実なことは2点+α!

H14年1月の診断書で「聴覚障害」の診断があり、原因となった疾患・外傷名は「感音性難聴」。そして左耳は昭和60年、右耳は平成9年と書いてあるそうです。そして、総合所見は右101db 左115dbで身障2級相当であると認定。その後、平成26年(2014年)2月の身体障害者診断書・意見書では、純聴力検査で右48db 左51db、語言聴力検査では、最高明瞭度右71%、左29%、ABRでは、右49db、左60dbでV波を確認、ということから、総合評価で聴覚障害者認定に値しないとされたとあります。(前述文献より)

この方の件で、確実に言えることは2点。1つは、聴覚障がい者認定の認定に関わる方法が変わったことです。H27年(2015年)4月1日より。もう1点は、3年前から聴力が回復していたとおっしゃっている中で、身体障がい者に適応される、市から交付されていた地下鉄や市営バスの無料券などが、私の支払ってる横浜市の税金からだったこと!ヾ(_。_ ) うーむ。そうかー。そうなのかー。それは如何ともし難いぞ。
 
あとのαは、佐村河内さんが豆乳が大好きで、ご飯の前に1リットル必ず「飲みたい」ということ、猫と一緒に住んでいること、喫煙者である事、部屋がなぜか暗い事・・・などなど。


猫の名前は?

ロシアンブルーのような、グレーの毛並みのいい猫ちゃんと一緒に暮らしているようです。夏にお腹を出して寝っ転がってる感じからすると、オスなのかなー?名前も一度も出てこなかったですし、エンドロールにも出ていたのかは不明。しかし、なかなかいい味を出す場面でカットインしています。そういえば、1回しかにゃーって言わなかったかも。かなりオトナシイ子でした。


取材のオファー

途中、フジテレビの方が2組、あと海外メディアの方が1組登場します。フジテレビの方は、2組めの方はお断りしたようですが、そのオファーは「大晦日に今年のことは笑って吹き飛ばしましょう!」という主旨だったためのようです。これまでも、いろいろイジられてきたのに、そんな飛んで火にいる夏の虫のようなことはしたくなかったという意味なのでしょうね。そしてこの2組目のオファーで4名いらしていたのですが、そのうちの一人の方の髪型が派手で・・どこから分け目あるんだよ?どうやって立ててるんだ?その髪型!って思ってました。俺いけてるぜ!って感じに見える風貌でしたけど、真面目な話をしに行くのに、この髪型じゃ信用ならないな〜と社会人目線で感じておりました。さらにその方、縦にうなづくから、立てた髪がワッシャワッシャとなってて気が散るわ!

一方、海外メディアの方。英語で話す方を通訳する方がいて、それを手話で伝えるという何重もの翻訳。こりゃ大変です。ですが、さすが、バッシッと聞きます。真髄的なことを。「なぜあなたは作曲しないのですか?(不確か)」そして上垣さんへの「指示書」という書面を見せる佐村河内さんに対して「これが音楽とは自分たちは思えない。これまでの間、あなたは楽譜を書けるようにしなかったのはなぜか(多分こんな感じ)」と聞きます。絶句。急に中座してタバコを吸いに行くのですが、その時の取材のお二人の「おいおい、やばいよこの感じ。俺たち悪い事言ってないよ」という目が印象的でした。まー外国の方にしてみたら、単刀直入に疑問を聞いたというだけなんでしょうが、日本人にしたら、それびっくりしちゃう質問なのよね。だって「オモンパカル」の世界ですから。

あとは、森監督が新垣さんの演奏会に行って、サインしてもらうシーン。「僕の名前を書いてほしい」といって自分が森監督である事を伝えます。この時、上垣さんにインタビューに行きたいと伝えると、新垣さんニッコリとして「是非!」というものの、後日事務所からお断り。カメラが回っているというのもありますけど、この「ヤベッ」っていうシーンで、あんまり動揺した顔せずにニッコリできる上垣さん、すごいこの間にトレーニングされたのか、それともそれ以上にガシッとした何かがあるのか・・自己効力感ってすごい。
他の方が、新垣さんと一緒に写真を撮るのに、森監督ったら動画回してるカメラを渡して、「撮ってください」って。「これどうすればいいんですかね」という新垣さんの言葉はそのまんまですよね。ここでも会場から笑いが起こります。
片方だけの意見じゃね〜って思っていたので、新垣さんの話もどんなか聞きたかったのですけど、お断りというのが「何か」を表しているのでしょうね。「何か」を。


ダイニングテーブル

この件以降、ずっとお家にヒッキーの佐村河内さん。取材も何もかも自宅のリビングです。オープニングのところから、ダイニングテーブル。ほとんど事はダイニングテーブルで行われています。不思議なのは、この撮影や取材の時、佐村河内さんはキッチン側に座っているのに、お食事の時は窓際に座ってましたね。だいたい、ダイニングテーブルって座る場所が決まっているような印象だったんですけど、このお食事の時だけは、窓際に座ってて・・なんでだろう?

印象的なのが、ケーキ。来客が来るたびに奥さんがケーキをお出しするんです。なんか日本の昔の家庭の風景という感じでした。何回も何回もケーキが出てくる。取材に来るのは男性なのに、ケーキ。そして誰もカメラが回っている間は、食べておりませんでした。

なんか変だな〜って思ったら、ダイニングのところの電気が点いていないんです。途中、電気をつける時はサングラスに変えるんです。あれ?このかた、聴力障害とは言っていたけど、視力はなんなの?奥さんと一緒にろう者の方に会う時も、視力の悪い方のように、奥様にぴったりくっついて歩いていたり、お部屋の中でタバコを吸いにベランダに出る時も、奥さんが誘導していたり。なんか不思議・・。そうそう、マンションではベランダも公共スペースですから、ベランダで喫煙はダメなハズですよー。


「佐村河内さん」から「守さん」。「森さん」から「達也さん」

監督のお話では、元々は出版の方向で動かしていた話を、これは映画の方がいいと切り替えた模様。そして撮影の最初、「僕はあなたを利用しますよ」と監督。最初から斬り込みますね監督。もちろん、この監督の過去の映画を知っていらして、どういう感じなのかはご存じだったようですが、ドキュメンタリーならある意味自分の事を出せると思ったのでしょうか?それはわかりません。
撮影期間が約1年4か月(2014年9月〜2016年1月)。最初は佐村河内さん、森さんという呼び方だったのが、最後には「守さん」「達也さん」に変わります。いつからかはわかりませんが、最後の方は変わってました。月に2〜3回通って何度も会っているって、こうやって距離が縮まっていくのかー。遠くの親戚より近くの他人ってこういうことね。なんて思いましたが、私は覚えてませんが、奥さんの呼び方も1stネームになっていたようですよ。

ですが、なんでしょう。これは書きませんが、あのラストシーン。結局、監督も、佐村河内さんも、奥さんも・・みんなわかんないぞ!


「悲しみを撮りたい」から「夫婦愛」

スタートは「悲しみを撮りたい」と話していた監督、でも途中から「夫婦愛」に変化しているようです。最後の方は、完全に夫婦愛。なぜ監督がそこに目をつけたのか、それは明確にはなっていないのですが、多分そこにも一つ理由があるような。それがエンディングのあの言葉の意図に続くような・・?

監督の「作曲しないんですか?」という言葉を受けて、シンセを買って作曲を始める佐村河内氏。そうじゃん!この人、自分の世間の間違った?解釈を否定すること、隠れるように生きていくこと、そこばっかりに掛けていたけど、そこじゃないんじゃないの?と思わせてくれたであろう一言。多分、それまで仕事のオファーがゼロだったのもあって、そんなこと思いつきもし無かったのかもしれません。これ、監督のナイスsuggestion!!! そして、それが映画になったことで、何かが伝えられたのかもしれないし。

「この件がマスコミに出た時、僕は離婚してくれと言った。この名前を変えて彼女を巻き込まないように(不確定)」というようなことを佐村河内さんおっしゃってました。奥さんはその時のことを「あまり覚えてない」と。そこで監督が「愛ですか」というような促しがあり「愛してる」と言ってください見たいなフリがあったような・・。私が「愛の意味」がわからないのでしょうかね。なぜここで「愛」とか「愛してるって言って」というような流れになったのかな〜って。きっと監督がロマンチックだからかもしれません。
って言うか、男ってこういうとき「離婚してくれ」っていうのが自分の責任って思うパターンありがちですけど、よくわかりませんが、この件以降、一切仕事もしてないのに、暮らしていけて、マンションも移り住んで、それでシンセ買えちゃってって、どんだけ財産持ってるんだろうか?と現実的な事を思ったりしたんですよね。そうなると、いきなり離婚してくれって言われても、奥さんにしてみたら、「お金どうするのよ?住むとこどうするのよ?私この先、どうやって生きていくのよ?は?」なんて現実的なこと考えるんじゃないかな〜。世の中の男性の皆様。別れたい!と思ったら、そんな水向けてくれなくてもきっと言い出しますよ。女性はねw

 

 

ということで、色んな受け取り方のできるドキュメンタリー。ドキュメンタリーって感慨深いわ。

 

結局の所、長い間、佐村河内さんと新垣さんはマンツー体制でやってきて、佐村河内さんの基礎?と知名度というところと、新垣さんの技術屋さんとしてのスキルで何とかバランス保っていたものが、付き合いが長くなり、佐村河内さんがあまり新垣さんを「大事」にしなくなっちゃったのかな〜?お金はくれるけど、「大事」にされてる感が薄まっちゃったのかな〜?わかりませんが、もしそれだとしたら、このマンツー体制でやっていきたいと思う佐村河内さんの怠慢なのかもしれません。また新垣さんに耳打ちした誰かがどれだけパワー持ってる人なのかということも不明です。となると・・何れにしても主題は「愛」なのかしら??

 

 

岡村靖幸×松江哲明 : 森達也監督15年ぶりのドキュメンタリー映画 佐村河内守“主演”の『FAKE』を語り尽くす! 前編 | GINZA | CULTURE

 

 

佐村河内氏に密着「FAKE」 どこまでうそなのか きょう公開 /東京

http://mainichi.jp/articles/20160604/ddl/k13/040/200000c

 

 

 

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